白木蓮の家

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 薄暗い夜の闇に白く浮かび上がった白木蓮を見つめた。  それはまるで夢のような光景だと思う。  夢のように儚く脆く。  夢のように淡く優しい。  そうか……これは夢か。  さわさわと春の風に揺れながら、白木蓮の蕾はまるで歌でも歌っているみたいだった。  それはとても懐かしい歌。  例えば母が昔歌ってくれた子守唄のような。  母の声を求めて、もう一度家の中の様子に聞き耳を立てる。  楽しそうに何やら話し合っているような遣り取りが聞こえてきた……みんな楽しそうに笑っている。 『じゃあ、夏休みは今年もお盆におばあちゃん家に行く事に決まりだね!』  ひと際大きく宣言する少女の声が響いた。  あれは多分、私の声。  堪らず私は目を閉じた。
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