1人が本棚に入れています
本棚に追加
マスタールーム
捕らえた2人の捕虜の訊問を終えたアイリスは後の処理を魔狼達に任せるとミリアリアと一連の状況にドン引き気味のライナ達と共に訊問部屋を出てマスタールームに移動し、ソファーに腰を降ろして皆の前に使い魔達が偵察した残党狩部隊本隊の陣営の映像と俯瞰図の図面に陣営周辺の地図を表示させた。
「あの屑隊長はほぼ何も知らなかったけど、屑下っ端参謀は意外に色々知ってたわね、大して期待してなかったけど腐ってても屑でも参謀は参謀って所だったわね」
アイリスはそう呟きながら映し出される陣営の図面や周辺の地図の各所に下級幕僚の白状により判明した各施設の名称や哨兵の展開状況を記していき、それが終了した後に改めてそれらと映像を見詰めながら口を開いた。
「陣営に駐留しているのは軽装歩兵1個大隊に軽騎兵、魔導兵、弩砲兵、工兵が各1個中隊ずつ、陣営の外周警戒は周辺に散開した魔狼と4ヶ所に設けられた外哨拠点が行い、展開する魔狼の統制所を兼ねた各拠点には1個分隊の軽装歩兵と魔導兵2名が詰めて警戒を行っている。そして数日以内に工兵大隊が到着して陣営を簡易的な砦に改築する作業を始め、それに併せて一部の捕虜がヴァイスブルクに後送される、か」
アイリスは映像を確認しながら図面と地図に記した陣営の概要を呟き、それを聞いていたミリアリアはゆっくりと頷いた後に厳しい目付きで捕虜となったエルフ達が収監されている牢小屋を見ながら口を開いた。
「捕虜となっているのは第八騎士団長ミランダ・フリートラントを始めとした8名、その現状については……考えたくも無い」
「……その8名に加えて昨年ロジナ候国軍を中核戦力としたラインラント連邦軍が内戦に介入した結果滅亡した狐人(こじん)族の国リステバルス皇国の元第五皇女、アイリーン・ド・リステバルス皇女と彼女の護衛騎士をしていたクラリス・ド・サジタリオ、アイリーン皇女に仕えていた侍女3人が娼奴隷として収監されているとの事でしたね」
ミリアリアの言葉に続いてライナが苦い顔付きで下級幕僚が白状した新たな虜囚の存在を確認し、それを聞いたアイリスは小さく肩を竦めさせながらミリアリアに問いかけた。
「ロジナ候国って随分色々やらかしてるのね、何かこの事に関して知ってる事ある?」
最初のコメントを投稿しよう!