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「内戦に勝利したリチャード皇子はリステバルス皇国の国名をリステバルス王国へと改めて同国の初代国王リチャード1世として即位した、そしてリチャードと共に苦しい戦いの間苦楽を共にした学友のプラチディア・リステリスが聖女として王に従った有力閣僚の友人達と共に王を補佐しているそうだ、彼女の寛容を求める言葉によってリチャード新王は抵抗した者達を許す一方、援軍を派遣してくれたロジナ候国とラインラント連邦には皇室直轄領の一部を割譲する事で報い、新王に最後まで激しく抵抗し続けた国賊アイリーン皇女は、最後は全ての部下から見捨てられ業火の中でその所業に相応しい末路を迎えたと言われていた、そして現在新王は聖女や友人達と共に寛容を是とした理想の国家の成立を目指していると言う、いっそ感心するくらい嘘くさい話だがこれが公式見解だ……現在のアイリーン皇女の痛ましい御姿を見たリステバルス王国の連中は、どんな言い訳をしてくれるんだろうな」
説明を終えたミリアリアは苦い顔付きで大きく溜め息を吐き、無言でその説明を聞いていたアイリスは気を取り直す様にゆっくりと頭(かぶり)を振った後に口を開いた。
「大体の事情は把握出来たわ、つまり、貴女達のお仲間と一緒に掴まっている狐人族の元お姫様達も貴女達と同じ様にロジナの連中と敵対していたって言う事よね、今このダンジョンにいるのは目覚めたばかりの魔王(あたし)と貴女達の5人だけ、救出予定の人数が4、5人増えた所で問題無いわね」
「……それじゃあっ!?」
「……アイリス様!?」
アイリスの呟きを聞いたリーナとアリーシャが表情を輝かせながら弾んだ声をあげたのに続いてミリアリアとライナも明るい表情になり、それを目にしたアイリスは頷きながら言葉を続ける。
「魔王のあたしに好き好んでついて来てくれるかは分からないけど、敵の敵は味方って言う言葉もある事だし取りあえず救出して今後どうするかはそれから決めて貰いましょう、さて、となると増援が来る数日以内が勝負ね」
「確か、現在ダンジョンの外を襲撃可能な戦力はスケルトンが70体に魔狼が15匹だったな」
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