黒い日光

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 現象自体はシンプルなものだが、被害は想像を絶するほどに深刻となった。この現象は日の出から日没までの間に、不規則かつ、突然起こりえる。丁度、突然雨が降り出すように。そしてなにより一番人々に混乱を巻き起こしたのは、  黒い日を浴びたものは灰になる、という事。  全くもって現実味のない話ではあるが残念ながら、真実であるか否かを口論するよりも前に、人々は自分の友人、家族、知人、そして自分自身が滅ぶのを見ている。 その黒い日光の所為で。  『夜が明けない日』。それは、黒い日光が地球に降り注いだ初めての日の事だ。 いつも通りの平凡な朝が迎えるはずだった。それなのに、いつまで経っても明けない夜に誰しもが疑問を感じ、閉じたカーテンに駆け寄り開いた。    当時の様子を生存者は語った。一瞬だった、と。 幾度となくテレビで放映されている、黒い日光を浴びた妻を亡くした老夫の話は、当時どの家庭でも起こった現象と相似していることで、メディアも大きく取り上げた。 内容はこんな感じだ。その日の朝方、飼っていたインコの鳴く声で二人同時に目が覚めた。 時計の針が指すのは、いつも起床している時間を少し過ぎた時刻だった。季節は夏、いつもなら日が昇り始めるのは午前四時三十分頃。目がさめる頃には眩しい朝日が住宅街を照らしているはずだった。     
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