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最初こそ、地下に潜ってきた客を逃すまいと営業していた地下街の店舗だったが、あまりの人数と、非常時ゆえの非行に出た輩が大勢いた事で営業を停止した。
彼等にとって唯一の頼りとなっていた地下街が閉鎖し、地下の人間による暴動が起こっているという問題もニュースで取り上げられている。
現象後一年半頃、俺の住む街では大きく分けて二種類の派生に分類された。
地下派と地上派だ。
最初の黒い日光が出現した時から自分の命を第一に考え、地下へと逃げ込んだ者。その者たちは自分たちの事を『健身者(けんしんしゃ)』と呼び、現在地上で生活している人間と自分達の接触を禁じ、隔離した生活を送っている。
そして現象後も今までと変わらずに地上で暮らす者を、地下の者は『病秘者(びょうひしゃ)』と呼び差別を始めた。名前の由来は何ともくだらない、何の根拠もない噂が原因だった。
”地上の人間は病原菌の塊”。
黒い日光という原因不明の現象に様々な仮説を付ける暇人が地下には存在するのだろう。
奴らが作り上げた仮説はこうだ。『黒い日光が差し込んだ地上には、汚染物質が漂っている。それを毎日呼吸として吸い込み、頭の上から浴びている人間は黒い日光に侵された病人である。』
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