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そう考えながらも彼は自然な足運びで冷蔵庫まで行き、中から二つの新鮮な卵を取り出した。静かに冷蔵庫を閉め、片手で卵を割ると中身をフライパンで焼かれているミートの上に落とした。もう一つ同じ要領で卵を落とし、ついで蓋をした。ポークエッグを蒸し焼きにしている間にサイドテーブルに置いてあった食パン一斤から必要な枚数だけスライスし、バーナーで表面を軽く炙って焼き目をつけた。フライパンの蓋を開けると水蒸気が立ち上り、彼の顎から額までをいい匂いのするミストで軽く蒸らした。フライパンの中身を再びカッティングボードの上に滑らせて落とし、適当な大きさにカットして先程スライスしたばかりのパンの上にのせ、さらに冷蔵庫から昨日のうちに薄くスライスしたトマトも一緒にのせた。その上にさらにスライスしたパンをかぶせるようにのせてしっかりと、しかし目玉焼きの黄身が潰れないような力で圧をかけた。黄身が潰れれば全てが台無しになる、と思いながら彼は慎重に圧をかけた、そして二つの大きなポークエッグトマトサンドができた。一つは朝食用、もう一つは弁当用だった。彼は片方のサンドを三つの均等な大きさにカットしてプラスチックの赤い入れ物に白い蓋のサンドイッチボックスに詰めてカバンにしまい、もう片方のサンドは熱いコーヒーと一緒に食べた。「肉の塩味と卵の甘み、トマトの酸味、そしてブラックコーヒーの苦味が見事にマッチする完璧な朝食だ。こんな朝食を食べれる僕はなんてハッピーなんだろう」とKは一人で考えていた。
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