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開発者として特許を取得したのは個人プログラマーだった。機能はもちろん、まだ若かったことでも世間を驚かせた。同じ年齢だ、とリクは記憶している。さらに、記事には世界的な家電メーカーと特許使用に関する独占契約を結び、一夜にして百年働いても稼げないような大金を手に入れた、と書かれていた。ここ数年で一番のアルゴリズム・ドリームだった。
特設の販売ブースを抜けるとき、幼い男の子と、母親の声がリクの耳に入った。
「ねえママ、未来が見えるカメラはないの?」
「未来はね、先のことだから見えないの。それに、見ちゃいけないことになっているのよ」
「どうして?」
「うーん、未来のことがわかったら、つまらないでしょう?」
リクは閃いた。未来カメラ。そういえば聞いたことがない。どうして気づかなかったのだろう。
気分転換の散歩を予定よりも早く切り上げ、巻き戻しカメラと同様に展示即売会をしていたコールド・スリープのブースを突っ切って、急ぎ足で事務所に戻った。
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