百年後の景色

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百年後の景色

 犬の吠える声でリクは目覚めた。 「……うるさいぞ、どうした」  玄関のドアに向かって犬は吠えつづけた。モニターに目を遣ると旧式カメラへのプログラムの転送が、ちょうど完了しようとしていた。94%完了、95%完了──。  強い力で二度、ドアがノックされる。  カイが席を立つ。だれだろう、と言いながら入り口に向かって歩く姿を、リクはぼうっと目で追いかけた。カイがドアを開ける。97%完了、98%完了──。 「はい」  黒いスーツに白いシャツ、黒いネクタイに黒い革靴。喪服のような出で立ちの男二人が、リクの席からも見えた。 「あなたがリクさんですか?」  99%完了。 「あの、どのようなご用件で?」  背の高い男がスーツの内ポケットから、なにかを出してカイに見せる。 「公安警察です。リクさんにQQQでの違法プログラムのダウンロード、及び無許可での未来視研究の容疑がかかっています。任意同行をお願いします」  カイがリクを振り返る。 「え、あの」     
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