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みそしる戦争
「いやほんまに。バナナの皮マジで滑るから。特にフローリングがやばい」
「そんなわけないやろ。お前大げさすぎやねん」
「そこまでいうんやったら、ほな、これ踏んでみいや」
盛大にこける漫才師のツッコミ役。日曜の昼の居間、彼女と漫才番組を見ながら俺は一人カップ麺をすする。
烏丸御池駅から徒歩五分、大通りに面するスーパーを右に曲がって三軒先の古民家。働いていない俺は、西院の実家からここに引っ越した。亡くなった俺のばあちゃんが住んでいたこの家には、彼女と一緒に住んでいる。歴史的価値と文化的価値を併せ持つ京町家の保全に、団体とか市が頑張っているらしい。俺の家、台風とか来るたびにいつ飛ぶかわかんないから、頼みます。助けてください。
さて、彼女がいるというのに、俺はカップ麺をすすっている。いや、女が台所に立つべきみたいな理論じゃなくて、普通、二人ぐらしなら一緒に飯を食べるもんじゃないか。というか、前までは一緒に食べていた。実は、こんな一人暮らしみたいな食生活、すなわち俺がカップ麺を食すことを余儀なくされているのには訳がある。
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