第1章 井上まりな

1/29
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ

第1章 井上まりな

バスの中 みんなが泣いている 年齢に関係なく、どれだけの思いで臨んでいたかも関係なく みんなが涙を流している、あちこちで嗚咽、鼻をすする音がしていた むせかえるような暑さにも構わずだ `ああ、終わったんだな` 俺はそう思った それと同時に俺は気づいてしまった こんな風に周りの様子を見ているのが俺だけだと言うことに 俺が見ているみんなと同じ、こみ上げてくるものなんて俺にはないことに そう気づいた一瞬後、目が合ったんだ アイツは信じられないようなものを見る目で俺の方を見たんだ これは、俺が歩き出すまでの物語
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!