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第1章 井上まりな
バスの中
みんなが泣いている
年齢に関係なく、どれだけの思いで臨んでいたかも関係なく
みんなが涙を流している、あちこちで嗚咽、鼻をすする音がしていた
むせかえるような暑さにも構わずだ
`ああ、終わったんだな`
俺はそう思った
それと同時に俺は気づいてしまった
こんな風に周りの様子を見ているのが俺だけだと言うことに
俺が見ているみんなと同じ、こみ上げてくるものなんて俺にはないことに
そう気づいた一瞬後、目が合ったんだ
アイツは信じられないようなものを見る目で俺の方を見たんだ
これは、俺が歩き出すまでの物語
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