第1章 井上まりな

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「いやまあそれはそうなんだけどさ、可愛いもんは可愛いだろ? それに童貞のキミに言ってこそ話が盛り上がるってもんじゃないかはがねクン!!」 「てめえぶっ飛ばされてーか」 ・・・・時刻は午後8時を回ろうとしていた 「ちょっとトイレ行ってくるわ」 「ああ」 俺はトイレに立った トイレは、井上さんたちの席の前を横切り、少し進んで曲がった先にあった ・・・・席横切るのやだな・・・・ 微妙な気まずさを思うとそんなことを考えた 3年間同じクラスでまともに話したことのない相手だ、普通そんな感じじゃないか タタタ 視界の端に井上さんを捉えていたが決して目は合わさない 「・・・・あれ・・・今」 こっちを見ていたような気が・・・・ どうせ勘違いか、知っている顔だなあと思った程度だろうみたいなことを思い、トイレに入った ジャー 「ふう・・・・・・」 用を足した俺は手を洗いながらぼんやり考えていた 大学かあ、楽しそう・・・・くらいの印象しかないけど・・・・ このまま就職するよかマシかな・・・・でもウチ息子を大学にやる金あんのかな・・・・ そもそも入学金とかいくらくらいだろう。入った後も学費とかかかるよな。 実家を出ることになったらさらに要るよな。でも一人暮らししてみたいしなあ・・・・・ あー、こーいうこと考えるのめんどくせえ ガチャ 「まー時間が経てば俺もしっかりするだろ・・・・」 俺はひとりごちた 「何のこと?」 「・・・・・え?」 ドアを開けた先には・・・ 井上さん・・・・・井上まりなが立っていた 「・・・・え、井上さん・・・?こんにちは・・・・」 いきなり話しかけられてびっくりした俺はとりあえず少しまだ濡れている手を、制服ズボンの後ろで拭う 「はははっ・・!!」 井上さんは対面早々俺のガチガチの挨拶を聞いて少し笑った 「才川くんさあ、絶対私がいるって気づいてたでしょ!!」 「え?いやドア開けたとこに井上さんいるなんて思わないよ???」 「違う違う、私たちもここでごはん食べてるってことをだよ!」
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