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「だって、あなたが『純禮院学園』のことを理解していないから、一から説明してあげようと思っただけの話よ」
「それだけのこと!? 別に知っていようが知っていまいがどうだっていいじゃないか、純禮院学園は確かにお嬢様学園だってことは知っていたけれど、そこに居る学生までは全員優秀な魔術師なんてことは知らないし、そもそも魔術が使えても数が問題だっただろ。あいつら十人ぐらい居たぞ」
「数なんてどうってことは無いわ。私が使う魔術は、数が多ければ多いほど良いんですもの」
「と、言いますと?」
「電池の仕組みって知ってる?」
「?」
「いや、正確に言えば、電池というより直列回路と言った方が良いか。直列回路は、電流が一定で電圧はそれぞれに分けられる。はい、そして彼らはどうだった?」
「確か、一列にあんたのこと取り囲んでいたと思うけれど」
ズガン!!
地面に、彼女が放った魔術――雷撃が当たった音である。
「危ねえな、さっきからよう! 俺はゼロの人間なんだから、あんまり魔術を行使しないでくださいますでしょうか!!」
「ゼロなら何で猶更助けようと思ったのよ、おかしなお話じゃあなくて?」
「……一人の少女が破落戸に囲まれていて、見過ごせる訳が無いだろうが」
「今のでときめくと思ってる訳?」
「は?」
「今のでときめく女子を掠め取ってるとか考えてるのか、と言いたい訳ですが」
「そんな下卑た考えに至らねえよあんたの方がよっぽど下卑た人間だなおい!!」
ズガン!! ズガン!!
二発、雷撃が命中した音だ。
「何だよ、事実を伝えたまでじゃねえか!!」
「事実を伝えたまで、という言葉がとてもむかつく。さっきから何なの? あんたは、ただの人間だよね」
「一応学生だぞコラ」
「一応、学生らしいけれど。でも、純禮院学園よりかはグレードが下でしょう?」
うぐっ。そう言われると何も言えないのが彼だった。
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