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悠馬は心の中でもう一度別れを告げると、目を覚ました。カーテンの隙間からは太陽の光がこぼれている。今のは夢だったのかな、とその光に向けて力なく手を伸ばしてみる。リオン、と呼んでみたが、もちろん返事はない。悠馬は体を起こし、机の上にあるものに気づいた。淡い赤の包装紙にリボンで包まれた箱が、悠馬の書いた手紙の上に載っていた。プレゼントだ!、と悠馬は瞳を輝かせた。
「ねえ、ママー! パパー! サンタさんからプレゼントが届いた!」
すでにキッチンで料理をしていた佳菜子に見せに行き、続いて勇次郎にも見せていく。箱の中身は、飛行機のプラモデルだった。「魔法で悠馬を空に運ぶのは、サンタさんでもできなかったみたいね」と佳菜子は言った。しかし、悠馬は首を振った。
「ううん。ぼくは昨日の夜、空を飛んだよ。黒猫のサンタクロースと一緒に。星たちのお友達もできたんだ。これはきっと、リオンがお土産にってくれたんだよ」
「リオンっていう名前なの? そのサンタクロースは」
悠馬はプレゼントの箱を見つめながら、こくりとうなずいた。
「うん。クリスマスの日だけの、ぼくの大切なお友達なんだ」
それから、悠馬は勇次郎とともに散歩に出かけると、家のすぐ近くにキャンディーケーンが落ちているのを見つけた。蟻がたかっていて、勇次郎に「触っちゃだめだよ」と言われた。それは子供のいたずらなのだろうか。それとも、誰かの忘れ物なのだろうか。
それを見ていると、悠馬はなんだか楽しくなって、スキップしながらとっとこ先へ行ってしまった。
「パパー! 早く来ないと、おいていっちゃうよー!」
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