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「ねえ、悠馬、今年のプレゼントは、サンタさんに何をお願いするの?」
「うーん、魔法使いにしてくれるようにってお願いする!」
「魔法使い?」
佳菜子はきょとんと目を丸くして、息子の顔を見下ろす。
「うん。魔法使いになって、空を飛ぶんだ。鳥さんみたいに。勉強頑張ったから、ぼく、魔法使いになれるかなあ」
佳菜子は少しだけ沈黙したが、にこりと微笑みかけた。
「サンタさんに『今年はいっぱい頑張ったよ』ってお手紙書かなくちゃね」
クリスマスの季節がやってきた。悠馬の家でもクリスマスツリーが出されて、飾り付けが行われた。玄関のあたりにリースをかけて、リビングにいくつか置いてある雪だるまやサンタさんの置物は、悠馬が欲しいとねだって買ってもらったものだ(雪だるまには、母雪だるまと父雪だるま、それに子雪だるまの三つが存在する)。オレンジ色の電球に、暖炉型ストーブの中で燃えている炎は、偽物とはいえ見ているだけでも温まる。
悠馬はお風呂に入り、佳菜子と二人で夜ご飯を食べた。お父さんは仕事が忙しいらしく、いつも一緒に夜ご飯を食べられるというわけではない。
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