黒猫サンタのプレゼント

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 夕食後、悠馬はサンタさんへのお手紙を書いた。佳菜子が「手伝おうか?」と尋ねると、「サンタさんへのお手紙なんだから、ママは見ちゃだめ!」と悠馬は唇をぎゅっと引き結んだ。  クリスマスが待ち遠しかった。いつもみたいに空を見上げると、「サンタさんも向こうの空から来るのかな?」と遠い世界までの想像が膨らんだ。  二十一日は終業式。  明日からとうとう冬休みだ。友達とはしばらく会えなくなる(かもしれない)から、この日は少し遅くまで遊んだ。お母さんたちもお話で盛り上がっていた。  二十二日は冬休み。  クリスマス・イブまであと二日。この日はお父さんのお仕事が休みだったから、家族三人でデパートに行った。デパートもすっかりクリスマス気分で彩られていた。イベント会場にもなる大広間には、グランドピアノに加えて巨大なクリスマスツリーが飾られ、それを指さして笑い合うカップルが悠馬の前を通り過ぎていった。「明後日のために、スパークリングワインでも買っておきたいな」と勇次郎が言って、佳菜子は「チーズとクラッカーも買わなくちゃいけないね」と微笑んだ。  二十三日は誕生日。     
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