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「サンタクロースって、死んじゃうの?」
「そりゃ、死ぬわよ。だって、サンタクロースだって生きてるんだもん。生きてるものは、いつかみんな死ぬの。あなた、もしかしてサンタクロースって一人のおじいさんが世界中めぐってプレゼント届けてると思ってない? 違うわよ。世界にどんだけ子どもたちいると思ってんのよ。一人でやってたら、一年三百六十五日かけたってプレゼントを届けきれないわ」
「……ごめんなさい」
饒舌にまくしたてる黒猫サンタに気圧され、悠馬はすっかり落ち込んでしまった。少女は慌てて両手と両耳、猫の尻尾をぱたぱたと振る。
「ああ、もう、泣かないで! なんか、あたしが子どもの夢をぶち壊したみたいになってるじゃない!」
いや、ぶち壊してるか、と少女は人差し指で頬をかいた。それから、キャンディーケーンを握った手を腰に当て、右手を悠馬に差し出した。
「わかった。じゃあ、お詫びにお友達になってあげる」
「お友達に?」
「うん。サンタクロースがお友達だなんて、とても光栄なことよ。感謝しなさい」
悠馬はぱあっと顔を輝かせ、右手を出した。
「ありがとう! ぼく、悠馬。よろしくね!」
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