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「あたしの名前はリオン。だけど、『サンタクロースにも名前があるの?』とか今さらみたいなことは言わないでね」
「ねえ、それより、プレゼントを届けに来てくれたんでしょ!」
「悠馬はせっかちね」とリオンは疲れたようにため息をついた。「ちゃんと、あなたのお手紙も読んだわよ」
リオンは上着のポケットから悠馬の手紙を取り出した。悠馬は驚いて机の上を見たが、そこに置いておいたはずの手紙は見当たらなかった。
「クリスマス・イブの夜には、純粋な心を持った子どものお手紙がサンタの国に届くのよ。あたしたちは受け取った順にそのお手紙を読んで、プレゼントを届けに行くわけ。あたしたちは字を読めば、その子が本当のことを言っているのか嘘をついているのかがわかるから」
「ぼくのお手紙はどうだった?」
リオンは手紙を眺めながら、柔らかく笑った。
「うん。素晴らしいお手紙だったわ。だからこうして、悠馬の前に現れてあげたんじゃない。あなた、空を飛びたいって話だったわよね」
「ぼくも空を飛べるようになるの!」
悠馬は身を乗り出して尋ねた。リオンはにやりと口の端をつり上げた。
「一晩だけ。だけど、きっと素敵な夢を見せてあげるわ」
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