黒猫サンタのプレゼント

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 リオンは軽くキャンディーケーンを振った。すると、赤、青、黄、緑……。いろいろな色に輝く宝石のような光が悠馬の体に降り注いだ。「おいで」と言ってリオンは悠馬の手を握った。リオンの手のひらは、雪のようにひんやりと、幻のように儚い感触がした。リオンはそのままくいっと手を引き、ぴょんと手すりに飛び上がった。悠馬はためらっていたが、リオンは優しく微笑みを浮かべた。 「大丈夫よ。ほら、あたしがついているじゃない。怖くないわ。それじゃあ、悠馬が平気になるまで、あたしが手を握っていてあげる」  リオンがさらに手を引くと、悠馬の体が宙に浮いた。それから手すりを踏み台にして、二人は夜の空へと旅立った。 「うわあ……」  まるで見えない階段を昇るかのように、上へ、上へと向かっていった。悠馬は大きく目を見開いた。すぐ横には薄い雲が川のように流れている。いつも見上げていた大きな建物がすべて小さな点に見えて、ぽつぽつとまばらに光る明かりが、まるで地球の星のように見えた。  鳥になったみたいだ。  そう思ったときにはリオンの手を離し、悠馬は宙で「大」の字に両手両足を大きく広げていた。 「どう、空を飛んでいる気分は?」  リオンは楽しそうに尋ねた。 「すごいを通り越して、なんだか不思議な気分だよ! ありがとう、リオン!」  リオンはにこりと微笑んだ。 「良かった。サンタクロースはみんな、子どもたちの喜んでいる顔を見るのが好きなのよ。そうだ。あたしの友達も呼んであげる」  リオンが指笛を吹くと、体から金色の光を放った三人の妖精たちが彼女のもとに集まってきた。     
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