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黒猫サンタのプレゼント
悠馬は空を見上げ、ぽかーんと口を開けていた。悠馬のはるか上空を通り過ぎていった鳥たちは、とても気持ち良さそうに空を泳いでいる。この街を見下ろしたら、一体どんな景色が見えるのだろう。空を飛ぶって、どんな気持ちなんだろう。悠馬はすっかり空に魅せられていた。
「いてっ!」
すると、左の肩に軽い衝撃が走る。悠馬はそのまま尻餅をついてしまった。
「ああ、何ぼうっとしてんだよ、悠馬くん!」
ドッジボールの同じチームの子どもたちが落胆の声を上げる。先生も苦笑を混じえて笛を鳴らした。
「日暮、アウト。もうちょっとボールに集中しような」
「……ごめんなさい」
「気にするな。外野からがんばれよ」
先生はトンと悠馬の背中を軽く叩いた。悠馬は返事をして、それからはもう鳥たちに気をとられることはなかった。
放課後は一度家に帰ってから、約束があったので友達の家に行ってゲームをして遊んだ。夕方の五時くらいになると、お母さんが迎えに来てくれた。あたりはだんだんと暗くなってきて、そろそろ星たちが目を覚ます時間だ。冬の冷たい風が頬を撫ぜ、悠馬はダウンジャケットの襟元に手をやり、ぎゅっと体を小さくした。
「寒くない?」
「大丈夫」
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