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『これから、全力で里桜を守って下さい。』
『えっ?』
私は息をゆっくりと吐き出してから、
意を決して話し始めた…
『里桜が保健室登校をし始めて少しした頃…、
早瀬マリさんが保健室に来ました。
〝お姉ちゃんがお世話になっています〟と言い、私は何も聞いていないのに、里桜のことをベラベラと話し出しました。
まだ、里桜とは話もしていない時でしたから、ただ黙って話を聞いていましたが、遠回しに里桜のことを悪く言い、一方的に自分の言うことは正しいから信じろと押し付けてきているように感じました。
おそらく、経験の浅い教師であれば里桜に悪い先入観を持ったでしょう。』
父親は驚いて私を見た。
『私はすぐにわかりました。原因はこの子だと。マリさんも同じく生徒なので、悪く言いたくはないのですが…
私は40年近く養護教諭をしています。今まで、問題がある子供達をたくさん見てきました。
どんなに小さい子でも、したたかな子はいます。自分を守る為に、言葉巧みに嘘を重ねたり行動したり…、人間関係を破壊するんです。
そして、自分を演じ分けることに関しては天才的で何も知らない周りの人間は信じてしまいます。』
父親は頭を抱えて下を見ている。
『そうやって里桜からすべてを奪い、孤立をさせ更に私までも引き離そうとしたんですよ。』
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