優しい時間

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優しい時間

冬休みが終わって学校が始まる。 みんなに会えるから楽しい。 ユミもカズくんも私の家のことは何も聞かず いつも通りにしてくれて嬉しかった。 優ちゃんもあれから何も聞かずに ただただ優しくて… 私は少しずつでも優ちゃんに話したかったけどなかなか言えなくてもどかしかった。 あの、初詣の日… マリに会ってしまって、忘れていたことを思い出して心臓が〝ギューッ〟ってなる時がある。 あの家を出ても、まだまだ呪縛に囚われているようで悲しかった。いつまで続くのかな… そんな風に考える事があっても 日常生活は普通に送らなければならない。 でも、明るいユミや笑わせてくれるカズくんがいて優しく気遣ってくれる優ちゃんもいる。 私はこの高校に進学して本当に良かった。 あの家を出れて本当に幸せ。 山下先生がいなかったら 私は今頃どうなっていたんだろう。 月1回の先生の家での夕食… 高校に入学してから 毎月報告を兼ねて行っている。 先生は楽しそうに学校での様子を話す私を見て涙ぐむこともあるくらい、喜んでくれていたーー。
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