優しい時間

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それから毎週月曜から木曜は優ちゃんと 金曜日はユミと帰っていた。 優ちゃんは必ず 自習室まで迎えに来てくれて 早めに終わった時は 優ちゃんも自習室で課題をやったりして… 20時の閉館時間まで必ず勉強して、私の最寄り駅で降りてコンビニまでは歩いて10分くらい。 その日もすごく寒かったのに、朝急いで出たらマフラーを忘れて学校へ行ってしまって… 『あれっ?里桜ちゃん、マフラーは?』 『あっ…、今日はしてないの。』 『朝、慌てて忘れたんでしょ?』 と、ニヤッと笑った。 『あ~、バレたか…』と私も舌を出して笑う。 『全然。大丈夫!そんなに寒くないから~』 と言って行こうとしたら… 何かが頭からすっぽり首まで掛けられた。 急に首のあたりがポカポカして、何かと思って首を見てみるといつも優ちゃんがしている黒にアンブロと青い刺繍がしてあるネックウォーマーだった… びっくりしてネックウォーマーを触りながら 優ちゃんを見ると 『あったかいでしょ? 俺は学ランで詰め襟だけど、里桜ちゃんはセーラー服だし…コート着てても中に雪入ったら冷たいからね?』 私たちの地域では傘を差していても 風によっては下から雪が舞ってくるから ホントに雪が下から降ってくるように… コートの襟元から雪が入ってくるーー。
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