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「後はお前らの好きにするがいい。澄男の意志に免じ、佳霖の討伐は見送ってやろう」
裏鏡は身を翻した。一方的に、自己中心的に、語るだけ語って三人から視線を外す。
だが、足を一歩踏み出したところで、彼の動きがぴたりと止まった。
「……``弟``……。奴からは、絶大で、極めて禍々しい悪意を感じる」
「弟……? それは、久三男様ですか」
「奴を中心に、滅びの像が観える。早急に対処することを推奨する。復讐を果たす前に、世界が滅んで欲しくなければな」
「……ッ!? それはどういう」
「興味範囲外だ。後の事など、俺は知らん。だが、約束は履行した。弥平」
なんでしょう、と肩を竦めながら呟く。
肝心な事は曖昧にしか教えてくれないことに苛立ちを覚えながらも、胸の奥底に本音を無造作に押し込む。
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