白皙の仙人、禍災の焔竜

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 裏鏡(りきょう)は、柄を強く握り、走り出す。  超能力は超能力で対抗する。今まで超能力者と戦った戦歴は無かったため、これは中々良い経験になる。  久しい。この躍動。この感覚。戦っている、という感覚だ。  今までの相手は戦いと言える代物ではなかった。ただ相手を一方的に倒すだけの作業。相手と相対するだけで、全員が己の予想通りに動いてしまう。  予想を超えてくれないという苦悩。予想を超えることが起きなければ、己の限界を超えるきっかけは作れない。  ままならないからこそ、限界を超えられるのだ。不可能を可能できるのだ。  今までの十六年間、そうやって生きてきた。下から順に潰していく日々は作業に等しいものであったが、ここにきてようやく対超能力者の戦いを経験できる。  これで再び``限界``を超えられる。それがなによりも己を狂喜させ、そしてその狂喜は、己を更なる上位階層へ持ち上げてくれるのだ―――。
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