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裏鏡は剣を捨てた。天災の主は、大地を震撼させ、空気を粉砕し、衝撃波の如き咆哮を放つ。
竜の本質とは、すなわち生存本能。そして澄男は、その膨大な生存本能に適応している。適応し、扱っている。
それは己にはできない芸当だ。鏡術を此処まで使いこなすまで、かなりの時間を要している。
だが奴は元々竜の身業だったものを即興で我が物のように使っている。天性のファイターという奴だ。
類稀な戦闘感覚。流川の血統を継ぐ末裔として、相応しい力である。
だが、それだけではないのだろう。奴は復讐の為に生きているといっていた。もしも、その復讐への想いが、奴の生存本能であるとするならば。
奴は、ただの感覚の権化ではない。激情の主、執念の男だ。
持ち前の感覚と執念と感情の起伏のみで、目の前に横たわる現実を粉砕しようとしている。
自分なら同じ真似ができたか。否、真逆だ。相手が感情を最大の武器として扱うのならば、此方は理性が最大の武器である。
どおりで此方の理屈に平伏しないワケだ。ならば構わん。己と真逆のやり方で我が道を突き通すというなら、突き通してみるがいい。
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