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此方も真逆の道を往くまでの事。理性を以って、目の前に立ちはだかる全てを粉砕し、理想を享受してくれよう。
裏鏡は左足で、地を叩いた。魔法で幾度も強化された肉体は、灰色と化した更地を死に追いやる。
大地は叫喚した。痛みと死が近づく、蜘蛛の巣状の傷跡を残して。
「来い澄男!! お前の``戦い``、この裏鏡が受け止めてくれるわ!!」
裏鏡と澄男の頭上に魔法陣が展開された。それは澄男が使ったものと同じもの。戒めを破る奥義、破戒。
「これが何か分かるか!! お前の力だ!! 俺が一から組み直してやった!! 性能は言わずとも分かるな!!」
魔法陣の範囲は広い。裏鏡と澄男の頭上を覆い、光度、文字列、魔法陣の数、全て澄男が顕現したものよりも複雑だ。
「お前が己の``戦い``を本気で成し、横たわる現実を粉砕したいのならば、俺の破戒を、現実を、不合理を、全身全霊を以って阻んでみせよ!! 俺は此処だ!! さぁ、かかってくるがいい!!」
裏鏡は澄男に仁王立つ。常に悠然と構えていた彼らしからぬ雄雄しさ。両手を広げ、咆哮しながら切迫する澄男を待ち構える。
神々しく輝くトーラスに、二人の少年は向かい合った。
白皙の仙人と禍災の焔竜。両者を隔てる壁は既に無い。境界線はもはや溶け去り、残るは猛々しい戦意のみ。
両者がぶつかり合おうとした刹那、天空の慟哭とともに、両者の宣誓が、空を裂いたのだった。
「破戒!!」
「HAKAIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!」
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