初めての黒星

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 なるほど、と返す。どおりで狙ったタイミングで暴閥(ぼうばつ)関係者を襲撃できた訳だ。 『鏡はあらゆる真実をありのまま映しだす』  彼はそう言っていた。超能力を使い、事前に倒すべき相手の情報を掴み、外に出てきたタイミングで襲撃を仕掛けていたのだ。  襲撃された一人としては大変迷惑な話であるが、今回はその襲撃で望み通りの収穫が得られている。 「更に一つ。潰す予定だったということは、敵組織の首魁の情報もご存知なのでは」  そう、最も気になるのはこれだ。敵の首魁は誰か。  おそらく擬巖(ぎがん)家は、もう関係無い。あくのだいまおうが言っていた証言が、濃厚だからだ。  ならば首魁は誰なのか。ヴァルヴァリオンということは竜人なのだろうが、竜人と澄男(すみお)、一体何の関係があるというのだろう。  弥平(みつひら)が疑問符を湧き立たせる中で、裏鏡(りきょう)は淡々と質問に答えていく。 「その者は派遣された(のち)、強者を求めてある集団に寄生し、子を孕ませ、その子を苗床とした人体実験を敢行した。名をユダ・カイン・ツェペシュ・ドラクル」
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