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敵の刃は明確に頸動脈を撫でている。ナイフで反撃しようとしても、敵が頸動脈を裂く方が速い。
魔法で反撃する。いや、詠唱を察知されれば結果は同じ。魔術も然り。
しかし背後は壁。冷静に考えれば、相手は壁から王手をかけている。
どういう事だ。壁を透過している。魔法の類で、あらゆる物体を透過できる魔法があったが。
いや、違う。
``魔法探知``を発動させている。魔法の類を使用しているなら、察知できない筈がない。
しかし``魔法探知``には何の反応も無い。つまり、敵は魔法の類を一切使用していない。
魔法を使わず壁を透過し、此方の位置を的確に察知して王手をかけている事になる。
あり得ない。理に適っていない芸当だ。行える筈がない。
分析しようにも、あまりに情報不足。どうする、何か打つ手は―――。
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