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「``攬災``、俺と戦え」
焦燥と思索など蹴破り、振り向く事すら許さない敵は、尚も透き通った敵意を振りかざす。
何故戦わなければならない。戦う理由がない。暴名を知っているという事は暴閥の関係者だが、声音に覚えはない。
振り向けば分かるかもしれないが、右耳から伝わる並々ならない戦意に許しを請えるなら、請願の意を示したいところである。
「まず、名を名乗るべきではないですかね」
心底から湧き上がる焦燥を隠し、虚勢を張る。
まず誰かを聞く必要がある。全ては名乗りから始まると言っても、過言ではない。
敵ではないなら示談で済ませるべきであるし、お互い無意味な傷つけ合いは避けるが道理。避けられないなら、不本意ながら致し方ないが。
弥平の虚勢に呼応するように、平坦で、淡白で、冷徹で、熱血的な存在感とコクを声音のみで表す、その正体不明は答えたのだった。
「お前達暴閥から、``皙仙``と呼ばれている者だ」
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