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弥平は追憶の渦から目を覚ました。
流川分家邸の一室、つい二ヶ月以上前まで私室として使用していた元私室で、机一杯に広げた情報の束を枕代わりに、頭を上げる。
懐かしい記憶。今からおよそ一年前の出来事を不意に思い出していたのか。
此処数ヶ月間は敵組織の情報探査に忙殺され、真面な休息をとれていないせいだろう。
あくのだいまおう達の一件から一ヶ月半。既に五月に入り、季節は晩春。
気温も高くなり、舞い散る桜の風情を味わう花見の宴を開くなら今月がピークだと思われるが、我等流川に祝宴を開く余裕は無い。
一ヶ月半に集まった情報束から、有益なものを抽出して澄男に持って行かなければならないのだ。
我等が当主流川澄男は、情報提供者であるあくのだいまおうの助言を受け、本家邸から遥か北方へ直々に赴く事を決定した。
彼がエスパーダ戦において使用した身業``竜位魔法``の伝説は、ヴァルヴァリオン法国と言われる竜人族の国にある。
澄男が、どうして伝説級の身業を行使できたのかという要因を調べるには、その地に赴かなければならないのだった。
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