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涙が引いた頃、ダンボールだらけの部屋で寄り添い合うように二人で想綴本を読んだ。
何度読んでも圭介の愛と努力で溢れていてあったかい気持ちになる。
「ごめん。このところバタバタしてたからまだ指輪買えてなくて…」
「ううん、いいの。この本と、この花束だけで充分だよ」
「…その本はプレゼントじゃないし」
照れ臭そうな表情の圭介の隣、私はセンニチコウの花束を抱えながら幸せを噛み締めていた。
「ねぇ、さっき最後のページに何書いてたの?」
「ん?ああ、センニチコウの花言葉を希望に向けて書いた」
「花言葉?」
花屋さんでアルバイトしていた経験から、花言葉はそれなりに知っていた。
センニチコウの花言葉は、たしか…“色褪せぬ愛”だったはず。
確認するように、辿り着いたラストページ。
下欄に目をやれば、こんな言葉が綴られていた。
〈20××年×月×日〉
〈永遠に変わることのない愛を、愛しいキミに〉
Last page / fin.
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