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〈夢を追う幸せか、愛を掴む幸せか。 つまりは歌か、希望か。答えは……〉 自分にとって歌うことは生きることなのだと、いつだったか圭介が言っていたのを思い出す。 圭介の書く歌詞は繊細で、どこか儚くて胸に響いてくるものばかりだ。圭介の作り出すメロディーは真っ直ぐで透明感があって…圭介のイメージそのもの。 圭介にしか書けない歌詞がある。 圭介にしか作れないメロディーがある。 無名ではあるけれど、圭介に魅了されて毎回ライブハウスまで足を運ぶファンだっている。 涙を流しながら圭介の歌を聴いている人だってたくさん見てきた。 〈答えは希望だ。何を捨ててもいい。だけど希望だけは失いたくない〉 それなのに…圭介は夢よりも私を選んだ。 本にはパタパタと涙の雫が溢れ落ち、文字を滲ませた。
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