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〈希望への想いを綴る本〉
驚いたことに最初のページの一番上の欄には、こう書かれていたのだ。これは日記でもなければ歌詞用のノートでもない。
世界でたった一冊しかない、私への想いを綴った本だった。
日付を見て、書き始めたのは5年前の冬だと気付く。
ちょうど同棲を始めた頃だ。
さすがに毎日ではなく3日おきだったり、時には一週間空いていたりと書く頻度はまちまちのよう。
〈20××年×月×日〉
こんな風に毎回西暦と日付から始まる文章は、その日私と交わした何気ない会話の内容だったり、私が作ったご飯が美味しかったとか、私の寝顔をボーッと見ていたら良い歌詞が浮かんだとか。
そんな日常に垣間見れる“些細だけど幸せな出来事”がギッシリと書き綴られていた。
平凡な毎日と、あっという間に過ぎていく人生。
小さな幸せは、積み重ねることで大きな幸せになるのだとこの本を読んでいて思った。
〈雪を見上げる希望は真っ白な世界にいる天使みたいだった。頭にたくさん積もった雪も、寒さで赤くなった鼻も、吐き出す白い息も、希望と繋がっているのなら全部が愛おしい〉
これは、北海道に行った時だ。
歌のことばかり考えてると思ってたのに…
ちゃんと私のことも見てくれてたんだね。
嬉しくて、少しだけ口元が緩む。
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