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「ずいぶん、お待たせしてしまいましたね。
今まで、とても楽しい日々を過ごさせて頂きました。
もう思い残すことなど、何もありません。
貴方と共に、いかせてくださいな。」
ゆっくりと、目を見て話してくれているのに、話が頭に入ってこない。
何を、言っているのだ。
「そんなに驚かないで下さい。
貴方がいつも側に居てくれたことは、気付いていましたよ。
あの子が、空に帰ってしまった後しばらくしてからかしら。
最初は貴方に驚いてしまったけれど、貴方はいつも優しい目で私を見守ってくださっていましたね。
私、いつも貴方に助けられていましたのよ。」
恐る恐る伸ばした手で頬に触れれば、君はニコリと微笑んだ。
あぁ、あんなにも望んだ君が、僕を見て微笑んでくれている。
胸が熱くなるのが分かる。
じんわりと灯ったそれは全身に広がって、いとおしくて、泣きそうになる。
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