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「 」
暖かい昼過ぎ、昼寝にもってこいの昼過ぎ。
毎日毎日一人めげずに声を張る大人を前に、今日も変わらぬ安定の声、と船をこぎ始めたその時。
急に開く扉と呼び声に、君は不審げな顔をした。
呼ばれた声に振り向けば、険しい顔をした大人の姿。
何十という目から注目を浴びなから外に出ると、告げられる。
「自宅から連絡が入った。
家に帰りなさい。これから通夜だそうだ。」
席に戻り、静かに準備をすると、一人帰路に立つ。
その横顔を見れば、どうして、や、誰が、などの不安そうな様子はなく、何も変わらない日々を送っているかのような。
ただの無が広がっていた。
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