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「前回から大きさが変わっていません。
心拍も確認できません…残念ながら、繋留流産です。」
残酷な言葉が小さな部屋で大きく響いた。
あぁやはり。
僕の祈りは天には届かず、現実が広がった。
君の反応が気になって。でも怖くて見れなくて。
動けずにいると、わかりましたと静かな返事が聞こえた。
凛と歩く姿はいつも通りの君で。
僕はそっと、胸をなでおろした。
でも君は、自室に入った途端、大声で泣き出した。
不甲斐ない僕は、一人おろおろして。
どうしようもなくて。
「必ず、帰ってくるから…だから、」
だから、泣き止やんで…
守ると言った僕の言葉は幻想で。
僕は泣きじゃくる君にそう呟き、君を抱き締めることしか出来なかった。
広い部屋に、君の泣き声がいつまでも響いていた。
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