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「知ってるかい?今居るここもその跡地のエリアに入っているんだよ。この足元の下には死者の書が眠っているかもしれないんだぞ。心躍るじゃないか。でも地面を掘ることは一般的には歓迎されないから発掘も難しいんだよ残念だが・・・・」
うーん。そんな本の上で生活していると思うと何だが不敬なことをしているような気になってきた。
「でも不思議に思わないか?数多ある魔法の伝承ではその行為を禁忌として厳重に秘匿されている。あるいは方法自体がもろとも消滅している例も少なくない。にも関わらず似たような事例が周期的に実行され新たな伝承を生み出している」
言われてみればそうだ。
「それは人の好奇心や探究心の結果なのでは?」
「それもあるだろうが、誰かが意図的に様々な形で情報をリークしているとは思わないか?」
「そんな馬鹿な。誰が一体そんなことを・・・。大体何百年何千年ごとにできるわけが・・・」
まさか・・・。
「そう・・・。神がリークしているんとは思わないか?」
「でもなんでそんな事を・・・・」
「天罰?人数の調整?もしかしたら、意味などないのかもしれない。大体、人に神の思考が理解できるものでもないのさ。でもこの行為に意味があるのなら、こんなことをする神に心当たりがある」
「それは、まさか・・」
確かに、この既視感にも似た感覚は・・・。
「考えている通りさ。罰を与えるなら天災や厄災と言った形で現れるのがメジャーだけど、こう言った人災に限ってはわざわざ人間を試している節があるからな」
「そんな、我が神がいくら稚気に富んでいるとは言え、そんなイタズラみたいなことをしてるんですかね・・・・」
「おや?私は我が神の事だとは言ってないぞ」
「ええっ!」
「そんな不敬な事を考えていたとは。我が神は地獄耳だからな、きっと趣味の悪い罰が降ってくるぞ」
「そんな!ズルイですよ」
「知らないな。もう私は行くから」
「そんな殺生な.何とかしてくださいよ」
「コラ!ひっつくな」
「嫌ですってば。ちょっと!」
廊下に喧騒が響き渡る。今日も平和な午後の時間は過ぎていく。
終わり。
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