side S

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「やっぱこのカイロ返す」 「ふふふっ。別にいーのに、ってか、そこに入れるの…ぶふっ」 「笑うな!他にどうしろってんだよ…。ってかこのマフラーも返すから」 「はーい却下。やだ」 「はぁ?!意味分からん!」 「だから俺は、これで十分」 ぎゅっと、ポケットの中で握る力が強められる。温かいどころか熱すぎて、手汗すらかいてきたんだけど…それでも離してくれそうにない。 また鼻先だけ赤くして楽しそうに歩く横顔は悔しいが、格好良い。それなのにこんなに俺とくっつきたがるこいつは、やっぱりちょっとおかしいし、残念な奴だなと思った。
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