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「おや、あんみつはお好みではなかったかな」
「いえ、好物です。先生もそのようなものをお召し上がりに」
「ああわたしは、クリームあんみつなるものがとても好みでね」
ふふふっと、今度は清が笑い声をあげた。
「先生、あなたもとても可愛らしいお方だ」
「わたしのことを可愛らしいなどと、言うのは君ぐらいなものだよ、清」
ぽっと頬をそめて清は視線をそらす。睦月は、その頭に触れようと手をのばし、動きをとめた。開かれた手をぎゅっと握ると、そのまま元の位置の戻る。
いけない。と心の中で呟く。これに触れては、いけない。
「先生?」
「あ、あぁ何だい」
青年がこちらを見つめている。睦月は動揺を悟られぬように、平静を装う。
「先生は、朝食はお召し上がりにならないのですか」
「そうだね…何か食べたいのかい、作ろうか」
「いえっ、僕がおつくりいたします…いいえ、つくらせてください」
困ったように清は眉毛を下げている。睦月は口元に笑みをつくる。
「では、お願いしようかな」
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