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「―――どうやら早速当たりを引いたみたいだな」
夜風に乗った男の声。
それと、辺りを押し潰すが如く広がった凄まじい威圧感を、四人は肌で確かに感じ取った。
「なッ…んだ、これ…!?」
「尋常じゃねえぞ、この圧力ッ…!」
「……霞さん、今の声って…」
「………嘘や…嘘やろ…?なんで…いや、そんな…!」
霞の喉が震える。
初めて聞いた声じゃない。前に一度、つい昨日、霞と辰巳は二人揃って聞いたことがある。
忘れもしない、忘れてはならない声。その主は、未だこちらを覗いているメイアの後ろを通って姿を見せた。
……わからない。
なんで。
どうして。
どんな因果で、こうなってしまったんだ。
「………鈴重……夜道ッ…!!」
風に揺れる黒髪の下にある目はこの上なく鋭い。目の当たりにしただけで感じる威圧感が増したように錯覚してしまう。
「見知った顔がチラホラ。お前らは協会の魔術師で間違いないな?」
「……なんで…あんたが、その子と一緒におるんや…」
「知らなくていいことだ、気にするな」
「気にするな…?そんなんっ…無理に決まってるやろ!説明しいや!!あんたがなんでメイアと一緒なんや!あんたはどこまで知ってて、メイアのことをどこまで知ってるか説明してもらわな納得出来ひんねん!!」
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