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「まあ、その通りだ。拳を除く第二部隊『ブレイカーズ』、それに追加投入した援軍である第四部隊『アタッカーズ』、総勢九名の魔術師たちがたった一人を逃がしてしまった。これを醜態と言わずしてなんと言うべきだ?」
「責任なら俺一人にあります。全員俺の指示通りに動いてくれた、逃がしたのは俺の判断が甘かったからです。敵の脅威を読み取れなかったのが原因で――」
「鈴重 夜道(すずしげよみち)が気になっていたのが原因ではない、と?」
碧眼の鋭い光が向けられ、しかし陽京は怯まなかった。真っ直ぐ青い目を見据える陽京に対し、片肘をつく会長は小さく吐息を零し、
「唯一泳がせていた『理の探究団』の一人を逃がしたのは痛手だ、お偉いさんたちも奴らの存在を危険視してるからな」
「何か言ってましたか?」
「お前らは協会に所属する魔術師の中でも特別優秀だ。あまりキツい処罰はしないようにと俺から頼んだが、なかなか首を縦に振らなくてな。とりあえず奥野陽京以外の魔術師は減俸ってことで決まった」
「…じゃあ、隊長はどうなるんですか?」
辰巳は僅かに顔を険しくし、会長を睨みながら尋ねる。
「奥野陽京は減俸に加え、失態の責任を取り『ブレイカーズ』から外れてもらう」
「ちょ、ちょい待ちぃや会長さん!いくらなんでもそんなん酷すぎるで!?」
「お偉いさんが決めたことだ、仕方ねえだろ」
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