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明確な決裂となった。もう何を言っても夜道は納得してくれないだろうし、夜道を納得させられるだけの確実性の高い方便も見つからない。
「……やるしか、ないんか…」
霞の言葉に他の三人も同感であり、異議を唱える者もいない。
メイアに下がるよう指示するこの男は日本魔術協会でも有名な凄腕の魔術師。強化術のみでならば日本最強の呼び声も頷けるほどの実力者。
そんな男を倒してメイアを奪い取る。どれだけ乱暴な手段を取ろうと必ず任務を遂行しなければならない。
最強の召喚師、鈴重夜道をここで撃破するしか道はない。
「あいつに召喚術を使わせたらあかん!使われる前に仕留めるでッ!!」
「だったらいつも通り俺が前線に出る」
踏み出すのは轟木拳。顔付きが見る見るうちに厳めしくなり、全身の筋肉が震えながら盛り上がっていく。
「一度でいいから手合わせしたかった……ああ、イレギュラーな場面だが、最高だ、最高に滾ってきやがったッ…!!」
「……ええやろ。拳、おもいっきりやってええで」
「ハハハハハハハハ。―――言われるまでもねェぜッ!!」
巨体が加速する。
開かれた目と口は野獣の如く。戦闘意欲に支配された拳が両腕を振りかぶりながら夜道へと瞬く間に距離を詰めていく。
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