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隼をそっと地面に下ろした夜道はすぐに隼から離れた。気絶している相手に追い討ちをかけるようなことはしない男なのはわかっていたが、敵対している霞たちを倒すのが目的ならば隼を餌に使えばこちらの行動を制限出来たはず。
しかしそうしなかった。
つまり導き出される見解は一つ、そんなことをしなくても倒せると思っているから。
「さて、あと三人。ちゃっちゃと終わらせようか」
「ッ!霞さん!僕と拳さんで彼をなんとかします、その隙を突いて彼を拘束してください!」
「辰巳……まさか、時間稼ぎする気か!?」
「先ほど連絡しておきました!もう時期隊長が来てくれます!」
「………あかん」
隊長である陽京が駆け付けてくれれば夜道を止めることも倒すことも確実性が増すだろう。
でも、霞はそれだけはあってはならないと思った。
夜道と陽京を会わせてしまえば、彼らの関係が一瞬にして瓦解してしまうのだから。
「それだけは絶対あかん!隊長が来る前に終わらせるんや!隊長をこいつに会わせたらあかん!!」
「霞さんッ、でも…!」
「"時間がねえ"」
呟きが聞こえた直後だった。唯一反応した拳が前に躍り出て、突進してきた夜道を鋭い衝突音を響かせて止めたのは。
「パワーには自信があるみたいだな、お前」
「ああッ…お前にだって負けねえぞ!?俺の方が強えってことをここで証明してやるッ!!」
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