Storyー1 神童と呼ばれた一人の聖者

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「なら今までの状況でいいな。鈴重夜道に『死者を惑わす愚弄者』を任せ、その鈴重夜道を陽京が監視する。奴は日本魔術協会に未登録の数少ない魔術師だ、しっかり見とけよ陽京」 「あいつは無愛想だけどバカじゃないっすから、協会を敵に回すようなことはしませんよ。寧ろ関わろうともしてないっすからね」 「それならそれでいい。『魔を統べる謀反者(サモンマスター)』は今や協会も無視出来ない存在になりつつある。気を抜くなよ」 「わかってますよ」 ぞんざいに返す陽京に会長はくわえていた煙草の先端に火を着け、副流煙を撒き散らしながら、 「なら解散だ。また連絡する、連絡があるまで全員待機だ」 『了解』 「ただ陽京だけは残れ。まだ話がある」 会長の言葉を受け、陽京は他の四人に退出を言い渡し一人残る。四人が部屋から出てドアを閉めるまで待ってから、 「実際のところ、鈴重夜道は本当に敵になることはないのか?」 口を開いた会長に陽京は真っ直ぐ言い返す。 「ないっす」 「『理の探究団』との接点もある、油断は出来ん」 「万が一そういうことになりそうだったら俺が丸く収めてみせます。あいつに限って探究団に寝返ることは絶対にない」 「何故そう言い切れる?」 「これでも親友って間柄ですから。あいつのことは誰よりもわかってるつもりだし」
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