Story-0 誰かが望んだ邂逅と対立

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仲間の通信を受けて駆けつけた時には、自分の部下である仲間たちが全員動けなくなっていた。 街灯はへし折れ道路は割れている。駐車していた車は真っ二つになり、街路樹は根っこから引き抜かれて転がっていた。 「…………………、どうなってる」 「ハァ……見ての通りや、隊長さん」 いつものツインテールは片方の髪ゴムが切れてしまっている。唇の端から血を流す関西弁の少女は体の痛みで動けないまま首を傾け、 「まだ遠くには行ってないはずや。痛い目見た代わりにうちの魔術かけたったからな………けど"あの子"と一緒におる奴は厄介やで…」 「わかった、ここで待ってろ。誰だか知らねえが俺が全部片付けてくるからなッ…!」 何かを言う前に少年は目の前から消えていた。瓦礫にもたれながら座る少女は立ち去った少年の向かった先に目を向け、 「……ホンマに厄介やで…特に、あんたにとってはな…」 その言葉は届かない。だが届いたとしてももう遅い。届いたって状況は変わりはしない。 遅いか早いかの違いだけ。 「―――止まりやがれッ!!」 荒々しい呼び止め。しかし着地は静かだった。 地面に降り立った時点ですでに戦闘体勢は整っている。ご自慢の白銀に煌めく剣が夜の闇の中に存在感を表している。見据える先には二人の人間がいた。
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