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一人は金髪をポニーテールにした少女。
そして、傍らに立っているのは―――、
「………………………………………、嘘、だろ…?」
「そりゃあ一体、何に対しての言葉だ?」
―――〈悪魔〉が振り返る。
望まぬ出会いがあった。
これが少年たちの始まりだった。
謀反者と聖者の―――初めての邂逅である。
「えらく切羽詰まった顔してるじゃねえか。何かあったのか陽京(ひきょう)………いや」
〈悪魔〉は目を細め、少女を後ろに隠して言う。
「『過ち砕く断罪の聖者(ペナルティーブレイカー)』と呼んだ方がいいか?協会の魔術師」
「……どうして、どうしてお前が……なんでだよ、夜道(よみち)…!」
明確な決裂は言葉なんかで決まらない。世界の流れが勝手に決め、そこに生きる人間たちはただ流されていくだけ。
「……その子を渡せ、夜道」
「寝言は寝て言う物だぜ陽京。それにわかってんだろ」
「お前だってわかってんだろ!だったらぐだぐだ言ってないで渡せよ!その子の中には――」
「説得するだけ無駄だよ、お前らには渡さない。どうしても欲しいってんなら―――来いよ。お仲間がやられてんの見て来たんだろ、だったら迷うことなんか一つもないはずだ」
剣を握る手が震える。歯を食い縛りすぎたせいか血の味が口内に充満する。
世界の流れ。
その流れをもし運命と呼ぶのなら、この決裂もまた運命。
流されてしまったなら、抗う術はない。
「かかってこいよ、ブレイカー」
「……ああ、覚悟はいいかよ、バカ野郎」
戦うことでしか、彼らは先へは進めない―――。
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