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断固拒否の姿勢を貫く陽京。決して折れず引かずの精神で華色に反発する。
「はい、余った分はあんたにやるから行ってきなさい」
「しゃーねえなぁ、何がいいんだ?」
「サンドイッチ。玉子の奴ね」
手のひらクルリンパ。千円札を差し出された陽京は仕方なく受け取り速やかに外出する。
魔術協会で働く陽京はしっかり給料を貰っているが全部母に管理されている。言えばその場その場で貰えるが、小遣い制のため例え少ない金額であろうとくれるのなら貰いたいわけで、金をちらつかされると弱い。
華色に渡された千円札をポケットにねじ込み近くのコンビニへ。千円くれるのなら自分で行った方が損をしないはずなのだが、基本的に外出したくない半分引きこもりの思考をする華色が自分から出向くことは稀。こうやって金で陽京を釣るのは日常茶飯事であった。
「こんだけあれば結構買えるな、ハッハハー」
ウキウキでコンビニに向かう陽京。だがその途中でケータイに着信が来た。
画面に表示されている着信の相手は辰巳だ。
「なんだー?」
『隊長、緊急招集です』
真剣な声音。名前ではなく隊長呼びであることから魔術協会からの指示だとすぐに理解する。
「用件はなんだ?」
『まだ不明ですが、すぐに来て欲しいとのことで。僕と拳さんはもう協会にいます』
「………しゃーねえ、わかった。すぐ行く」
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