Storyー2 呪いに縛られた少女との出会い

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正面を見ていた陽京の眼球が横へ向く。マーカスは相変わらずニタニタと不快感を与える笑みのままだ。マーカスは陽京の反応を楽しんでいるようにも見え、陽京は静かに目を細める。 「ッあんた、そろそろいい加減にしとかな…!」 噛み付こうとする霞を手を上げて制止させ、一拍空けてから口を開く。 「言っただろ、全部俺の判断ミスだって。夜道は俺の想像以上に活躍してくれた、絶好のチャンスを潰したのは俺が原因なんだ、あいつを貶すのはお門違いってもんだよ」 「そうは思えないがなぁ」 「事実だ。あの場を任せられた俺に責任がある、協力してくれたみんなに非はない。―――だからさっさとその口閉じろよ、マーカス」 ピリッ…と空気が凍り付くのを室内にいる全員が感じた。たった一人の威圧感によって重苦しい空気に変質した。 陽京に責任がある。 夜道を貶すのは筋違い。 それをわからせるためなら、今の陽京は武力を行使するのも躊躇わない。 まずい状況だ。 マーカスの目も鋭さを滲ませる。一触即発と表現してもいいかもしれない緊迫した状況だ。 ―――その空気を打破したのは、ドアを開けて中に入ってきた魔術協会会長であった。 「悪いな待たせて、いろいろ話し込んでしまった。………何かあったのか?」 「いんや何も?ただ談笑してただけだ」 平然と言うマーカス。陽京も発していた威圧感を引っ込めおとなしくなる。さも何もなかったかのように装いながら。
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