Storyー2 呪いに縛られた少女との出会い

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 ◆ 「なんか…ヤバい状況に出会したんじゃないか?あたしたち」 夕食を済ませて帰宅途中、ヤンキー面を崩した響が言った。隣にいる夜道も同じ感想を抱いたが、先に行動に移したのも夜道だった。 「おい、大丈夫か?」 歩み寄った場所にいるのは一人の幼女。ポニーテールの金髪に青い瞳で、灰色のワンピースを着た素足の女の子が電柱の陰で踞っていた。 「家出少女って奴か?でもこいつ外国人だよな、警察に連絡するか夜道」 「いや、待て高鳴」 夜道は屈み込み、幼女をすぐそばから観察する。 体付きがやけに細い彼女はスリムと形容するよりは痩せていると言った方が正しいか。手足は皮と筋肉だけで余分な脂肪がない、普段から十分な食事を取れていないようだ。 「……ちょっと待てよ、もしかして虐待とか受けてるんじゃないか?すぐに警察に保護してもらった方がいいんじゃ…」 「だから待てって。警察に渡すのはダメだ」 「な、なんでだ?」 幼女が顔を上げ、夜道と目を合わせた。青い瞳には力が無く、どことなく虚ろげなところを見るにかなり弱っている。しかし夜道の意識を引いたのは弱った彼女ではなく、彼女の首に取り付けられた首輪だった。 「お前、もしかして魔術協会の育児施設から逃げ出してきたのか?」 「……………ぉ」 幼女が呻いた。 微かに聞こえた言葉はこう続いた。 「お腹空いた……」 これは謂わば偶然の出会い。 そしてこの偶然が、これから起きる大事件のきっかけに繋がることをこの時の夜道と響は知らない。知るよしもない。
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